【インタビュー】現役のカーデザイナーに会ってきた!ー服部幹さんの場合ー


カーデザイナーを志す人に、少しでも有益な情報を届けたいという思いから始まりました、この現役のカーデザイナーに会ってきたシリーズですが、今回で第8弾を迎えます。

 

これまでのインタビューは以下よりご覧いただけます。

特にカーデザイナーを志す方は、ぜひ一度目を通して頂たいと願っております。

 

【インタビュ役のカデザイナに会ってきた!

米山知良さんの

 

—ツナグデザイン、根津孝太さんの場合— 

 

—元ホンダ、やまざきたかゆきさんの場合—

 

—桑原弘忠さんの場合—

 

—元イタルデザイン、サンティッロ・フランチェスコの場合—【前編】

ー元イタルデザイン、サンティッロ・フランチェスコの場合ー【後編】

 

—メルセデス・ベンツ、フォルガーさんの場合—

 

—【車を愛するこんな人編】AUTOSPEC.下田征邦さんの場合—

 

 

今回は、オペルに在籍しご活躍されていました、カーデザイナーの服部幹さんです。

筆者も実際に服部さんのスケッチを見たことがあるのですが、面質の表現はズバ抜けており、脱帽した記憶があります。

 

工学部に入学され、カーデザイナーになるために海外に飛び出し、ご活躍するまでの、色々なお話を伺いました。

 

現役のカーデザイナーに会ってきた!ー服部幹さんの場合ー

服部幹 カーデザイナー

服部幹(はっとり みき)=東京都杉並区出身。早稲田大学高等学院卒業後、1975年に早稲田大学工学部に進学。在学中、カーデザイナーになると決心し、名門ACCD(アートセンター)に進学。その後、オペルに採用され、海外で活躍する日本人カーデザイナーの草分けとして知られる児玉英雄氏とともに7年間を過ごす。トリノのカロッツェリア、スティーレ・ベルトーネに移籍し、数々のプロジェクトに関わった後、1992年に帰国。未来技術研究所を経て、自身のプロダクトデザイン会社を立ち上げるとともに、鎌倉のSQUAMA株式会社で取締役を勤めるなど、精力的に活動している。

 

児玉英雄氏のインタビューはこちら

 

 

カーデザイナーになるには

 

元々のきっかけはレーシングカーです。

70~80代にかけて、F1の世界でも独創的なコンセプトのマシンが群雄割拠の状態だったので、それらの造り手になりたいとずっと思っていました。

 

そして、大学の工学部に進みましたが、これは誤算でした。算数が苦手だったので、物理などを専攻してはいたのですが、さっぱりうまくいきませんでした。

 

よくよく考えてみたところ、クルマの形も好きだと思い、それならカーデザイナーを目指そうと決心しました。

しかし、今も当時もそうだと思うのですが、どうやってカーデザイナーになっていいか情報が全くありませんでした。

 

誰に聞いていいかも分からない状態だったところ、カースタイリングというカーデザインの雑誌をたまたま本屋で見つけました。

確かバックナンバーだったと思いますが、アートセンターカレッジ、というカーデザイン専門の学校の記事が載っていました。

 

カースタイリングの編集部にすぐ電話をして、「この学校について詳しく教えてください」と尋ねると、電話を取ってくれた方が「・・・まぁ取り敢えず一度こちらに遊びに来なさい」と言ってくれました。
 

実は、それがカースタイリング出版の代表、藤本彰さんだったのです。

 

こんな学生の僕のために、色々親身になって相談に乗ってくれ、しかも日産のデザイナーさんを紹介までしてくれました。

 

 

そのデザイナーの方には何回か会っていただき、会う度に僕の作品を見せては色々なアドバイスをもらいました。限られた期間でしたが、僕にとっては本当に密度の濃い、宝物のような時間でした。

 

 

 

カースタイリング 情報誌

カースタイリング=1973年に創刊された、日本から世界に向けて発信されている唯一のカーデザイン情報誌。車に限らずあらゆる乗り物や製品のデザインを対象とし、インダストリアル・デザインとは何か、人々が求める価値あるデザインとはどのようなものかについて、読者と共に研究し、紹介。また、プロフェッショナルなデザイナーにとっての作品発表の場であり、デザインに関心を持つ一般の人々にとってはデザインの現場との接点となる情報誌であった。2010年、惜しまれながら休刊となったが、現在復刊を予定しているという。

 

 

アートセンターでカーデザインを学ぶ

 

アートセンター アメリカ

アートセンター・カレッジ・オブ・デザイン(Art Center College of Design)=アメリカ合衆国カリフォルニア州パサデナにある美術大学。1930年創立。世界的なデザイナーを多く輩出する私立の大学である。各学科ごとに目指す職業に直結したカリキュラムが組まれていることが最大の特長。 同校トランスポーテーションデザイン学科は世界的に有名。ビッグスリーのカーデザイナーの多くは、同校トランスポーテーションデザイン学科の卒業生である。日本人の卒業生として、日産の中村史郎氏、ザガートの原田 則彦氏、初代ユーノス・ロードスターなどを手掛けた俣野努氏などが挙げられる。

 

 

アートセンターは今でもカーデザインを学べる学校の中で、世界でトップクラスであり、そこで学べたことはとても幸運なことだと思います。

 

授業は、基本、毎日1教科を選択するようになっていて、6時間くらい集中して学びます。

 

カーデザインの授業では、講師のデモンストレーションも勿論あります。

スケッチスキルを伸ばす授業のカリキュラムは、カーデザインアカデミーのものとおおまかには一緒です。

 

パースから始まり、毎回課題が出されるので、余裕で遊んでいると、毎日授業があるので週末には課題でパンパンになってしまいます。

 

スキルを伸ばすだけではなく、デザイン論や、歴史の話など、カーデザインだけではなく、その他のジャンルに関わる授業もあり、とても為になりました。

 

アメリカでの学生生活は充実していました。

 

卒業も近づく頃には、自分のポートフォリオを作成し、自動車メーカーにスライドを送ったり、また学生のインタビューに来るメーカーと会ったりしていました。

 

そのような中、オペルからのオファーを受けることにしました。オペルの量産車の事はよく知りませんでしたが、いくつかのショーカーのデザインは素晴らしいものでした。

 

中々ビザが降りなかったので一時帰国をし、その間に結婚してドイツには2人で行きました。

当時はまだドイツは2つに分かれていた時代で、オペルがあるのは旧西ドイツです。
 

当時オペルの日本人は、児玉さんと永嶋さんが在籍されていて色々とお世話になりました。
 

カースタイリング スペシャル  

カースタイリングスペシャルエディション「ドイツ車のデザイン」での一節。オリジナリティ溢れる独創的なデザインと、それに裏打ちされたスキルをまざまざと見せつけられる。

 

 

オペルに入社早々、「お前は新人でまだ経験もスキルも足りてないかもしれないが、その分フレッシュなアイディアを求めているぞ」と言われました。そういった意味では、即戦力として扱ってくれました。

 

オペルでは7年ほどを過ごしましたが、その後のキャリアの経過は早かったです。

2年間、トリノのスティーレ・ベルトーネに移籍し、1992年に帰国しました。

未来技術研究所に在籍した後、自身のデザイン会社PICMICの設立など、話せば長くなるので、今日はこの辺りで止めておきます。

 

 

ー最後にカーデザイナーを目指す人へメッセージをお願いいたします

 

わたしはアートセンター在学中に、ポートフォリオをメーカーに送っていましたが、日本は各メーカーの実習に参加してその中から選考されるシステムです。

 

実習に選ばれるのも一握り、さらに実習後にオファーを受ける可能性も小さい、と聞いているので、メーカー側としてはなんだか採用幅がとても狭い感じがします。
 

また、学生の側からすると、メーカーとの接点は実習しか無いと思いがちですが、海外のメーカーも視野に入れれば通年採用というケースが多いので、こちらは学生からのアプローチがメインになります。

日本のメーカーも今はグローバルな採用もしているので、実習云々にかかわらず、これは想像ですが、学生からポートフォリオを送って採用される可能性もあるのではないでしょうか。

 

枠の中だけで考えると、可能性は小さいままです。

 

わたしの時でも、カーデザイナーになるための情報はあまりありませんでした。

今は昔に比べると、インターネットで検索をすれば、少しは情報が出てきます。

カーデザインアカデミーでもそういう情報を公開していますし。

 

カーデザイナーになりたいのならば、考えられる、あらゆる手段を試せばいいと思います。

 

頑張ってください。

 

 

編集後記

 

 

カーデザイナーになりたい一心でカースタイリング編集部に電話したという積極性は、本当に見習うべきところだと感じました。

 

終始穏やかで、とても優しい雰囲気の服部さんですが、自分の道は自分で切り開く、という強い意志を感じました。

 

服部さんのスケッチは、面質の表現が特徴的なため、説明が無くても服部さんの作品だと分かります。

 

インタビューの途中、ご自身で編み出したコピックマーカーのテクニックについて教えて頂きました。

 

今後アカデミーの受講生にもそのテクニックを学べる機会も設けてまいりたいと思います。

 

 

 
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